研究主題 
「K4の視点を生かした授業づくりを核とした学力向上」

授業研究部

「K4の視点を生かした授業ハンドブック」の作成

〜地域に応じた第1歩〜  
 飯能市教育委員会では平成21年度に「K4-KID」宣言をし、学力向上の取組を行っている。K4とは、「課題」「活動」「確認」「価値付け」の4つの頭文字の略称であるが、この4つの視点を生かした授業づくりをすることで、学力向上を図ろうとしている。この授業づくりハンドブックを研究1年目に飯能市教育委員会のご指導の下作成し、校内研修で理解を深めてきた。2,3年目には本校の職員を市内小中学校の校内研修に派遣し、その普及に努めている。


K4シートの開発

〜多忙な中学校だからこそ〜
  K4の活用に重点をおいた簡易指導案を「K4シート」と呼び、一人一研究授業や授業研究会等で活用してきた。K4シートに「課題、活動、確認、価値付け」の4つの項目を記入することにより、目的意識をもって授業に望むことができる。また、一般的な学習指導案より短時間に作成できるため、実際の活動の準備等にその分、時間を割くことができる。


「課題」「まとめ」プレートの活用

 〜いつでもどこでも〜  
  生徒にとって「この時間での課題は何か」を把握するためにも重要な要素である。その課題を解決するための活動につなげていくのはとても重要なことである。また、「この時間に何を学んだ」のかノートにまとめておくことは、効率よく復習するためのきっかけともなる。そこで、課題、まとめプレートを作成した。これは、先進校視察(秋田県)をした時にヒントをもらい実践してきた。実際、生徒アンケートにおいてもこのプレートを使ったほうがわかりやすいと答えた生徒は90%にのぼる。

「課題」が明確に提示されていますか。

《平成26年度第1学期≫⇒《平成27年度1学期》

   

課題まとめプレートを使った方がわかりやすいですか?


学力向上7ヶ条

〜まずはチャイム着席から〜   
   授業規律を確立させる1つの手立てとして、以前から本校にある「学力向上7ヶ条」を授業研究部で再検討し、新たに各教室や廊下に掲示し、生徒への意識化を図っている。Aチャイム1分前着席については、生徒会・学級委員会での取組もあり、各学年ほぼ95%以上ができており、落ち着いて授業を受ける環境は整ってきている。しかしながら、@授業前に道具の準備、B顔を上げて姿勢を正す、D指名されたらすぐ返事、E挙手して発言、はまだ十分とは言えない。「学力向上7か条のステップアップ作戦」として今後も指導を続けていく必要がある。


K4-授業アンケート

〜教員に変化の兆し〜    
   教員が自分の授業についてどれだけ授業改善できているのか、定期的に自己評価(振り返り)を行うため、「K4-授業アンケート」を実施している。アンケート項目の中の〈「課題」「まとめ」「価値付け」を意識することで授業が改善されたと感じていますか〉については、「生徒の様子の変化」や「教員の変化」の記述から、K4 の視点に基づいた授業づくりを積み重ねることにより、生徒は、教員が提示した課題に対し「何が分かればいいか」というゴール(目的意識)をもって授業に臨め、教員はさらなる授業改善を意識し、互いに1時間1時間の授業を大切にするようになってきたことがわかる。

一人一研究授業と授業研究会

 〜より良い授業を目指して〜
  全ての教員が1年に1回は研究授業を実施し、校外からも指導者を招き、指導を受けた。その際、簡易指導案「K4シート」を事前に作成した。このことにより、授業者は、K4の視点をより明確にした上で授業を展開でき、また参観者も、授業者と同じ観点で授業を参観することができた。さらに、学期に1回、2クラスの研究授業を全ての教員が分担して参観し、授業後、ワークショップ形式での研究協議を行う授業研究会を開催した。教育事務所等からも指導者を招き、K4の視点に基づいた授業ついて深めることができた。

〈授業研究会指導〉※H25 7月の研究協議の記録より
・K4は横のつながりの視点が重要である。「課題」−「活動」−「まとめ」が正対していれば、「価値づ   け」にも自然につながっていく。
(埼玉県教育局市町村支援部義務教育課 指導主事 佐藤勝俊 先生)
・「活動」が目的となることのないように、指導目標を落とし込む活動、課題解決のための活動を充分に吟   味して設定すべきである。
(西部教育事務所 学力向上担当 指導主事 田邊玲 先生)

各教科の取組(例)理科

K4の視点を生かした授業を展開し、学力向上を補完する取組を各教科で実践してきた。その一部をご紹介いたします。

◆レポートの工夫 〜K4の視点を明示〜
 観察・実験の際のレポートでは、用紙に課題→活動→確認→価値付けを明示し、授業時の黒板(説明用)とレポートをリンクさせ、生徒に意識させるようにしている。
 生徒はまず、レポートの左側(観察・実験の方法にあたる)を記入(予習)する。このことにより、活動の見通しを持って課題を解決できる。また、優秀レポートを理科室入り口付近に掲示し、レポートの質的改善(個人的な変容)が図れるようにした。

◆活動時の工夫 〜実験の個別化〜
 「課題」「まとめ」プレートの活用が進むと、次はいかにして(課題を解決するための)活動を充実させるかを考えるようになった。研究授業後の授業研究で、より活発な活動をするためのグループの人数は、6人の生活班よりも少人数(例えば4人くらい)がよい、ということが指摘されてきた。そこで、理科部では観察・実験器具の整備を図ってきた。例えば、顕微鏡など観察・実験の個別化を図れるものについては、一人一台使えるようにし、個々の活動を充実させるとともに、パフォーマンステスト(ガスバーナー等)を行うなどして技能の定着を図ってきた。

◆西中ドリルの活用 〜これだけは!〜
 この学年で“これだけはマスターしてほしい”問題を集めた「西中ドリル」を作成、長期休業中の課題とし、休み明けに「西中検定」としてテストを行っている。また、定期テストにも出題するなどし、定着を図ってきた。